本当に周りのみんなには感謝しています。

法律の世界を目指して大学院に通っているという黒岩瞳さん。生き生きとした笑顔がとっても印象的で素敵な方です。
聴覚障害を抱えながらも、学生生活を活発に謳歌する彼女の姿には元気や勇気をもらえると思います。

 

いちばん最初の耳の不調

小学校2年生の頃です。定期検診の聴力検査で要精密検査と結果が出てしまって。
それで広島の病院に行きました。
検査の結果、自分自身がそれまで気づいていなかっただけで、実はもともと難聴だったことが分かりました。
その後もいろいろと検査を受けました。
そして、ある程度からだの作りが出来上がる中学3年生以降に手術が必要だと診断されました。

当時、年に数回の検査は必ずありましたね。
補聴器は使っていなかったです。
右耳に軽度から中度の難聴があったくらいだったのと、もう10年以上前のことなので、当時の補聴器は現在のように質の良い時代ではありませんでしたから。

 

当時の補聴器は付ける方がストレス

補聴器を使い始めたのは、中学1年生の終わりか2年生の時でした。
耳穴式の補聴器で。ただやはり当時の補聴器にはハウリングなどを抑える技術もなかったので、付けて生活している方がストレスになるんです。
結局、買ったはいいけど常用としては使っていません。

ですから大学に入るまで、補聴器はたまに気が向いた時に使う程度でした。
ただ大学に入る頃、補聴器はちゃんと付けた方が良いのではないかとは思い始めてはいました。その頃は右耳の難聴だけでした。

 

手術の失敗で右耳の聴力がゼロに

大学1年生の終わりに耳硬化症の手術を受けました。鐙骨手術でしたが、手術が失敗してしまったんです。
それが原因で右側の三半規管がダメになり、右耳の聴力がゼロになりました。
右耳の聴力がゼロになったことによって、だんだんと左耳にも負担がかかるようになりました。その結果左耳も難聴になってしまいました。

 

片耳人工内耳の手術体験

大学2年生の夏でした。前回とは違う病院で、右耳の片耳人工内耳の埋め込み手術をすることになったんです。
片耳人工内耳の手術は事例が少ないため、病院側の研究もかねての手術でした。
しかし、大学1年生の時の鐙骨手術が失敗が原因で、耳の蝸牛の中が詰まってしまっていて、人工内耳の一番高い電極の電気が通らない状況になっていたんです。

人工内耳を付けて約1年くらい生活しました。でも、両耳での聞こえの差があるため違和感が拭えなくって、結局体外に付ける装置は使わなくなりました。
人工内耳は将来もっと性能の良いものができるかも、という思いもあって、体内に埋め込まれた人工内耳はそのままに、クロス補聴器を付けるようになりました。
それ以来クロス補聴器を付けて生活しています。

 

クロス補聴器のある生活

左耳は難聴だけど生きています。
難聴は小さい頃からあったので、言葉がはっきり聞こえなくても、大抵相手の言葉は分かります。きっと感覚的な意味で慣れているんだと思います。
左耳で聞こえる音の大きさのレベルですけど、クロス補聴器を両耳につけることで普通に生活が出来ています。

【クロス補聴器】
片耳の補聴器効果が期待出来ない場合に、反対の耳で聞き取りその音情報を得る方式です。 補聴器の効果が期待出来ない耳(不良聴耳)側に、マイクロフォン機能のみの補聴器をして、電波で通信して聞き取ります。

 

学校の授業はロジャーで

学校の授業ではロジャーを使っています。
先生の近くにロジャーを置いていただいています。
生徒がそれぞれ受け答えをする場合は、ロジャーをみんなで回して使ってもらいます。

【デジタルワイヤレス補聴援助システム〔ロジャー〕(フォナック社)】
話し手と聞き手の距離が離れた広い場所や、周囲の声が行き交う公共の場所など、補聴器や人工内耳を装用していても聞き取りが困難な環境があります。
遠くにいる話し手の声を送受信し、聞き取りをサポートします。

 

充実した学生生活

現在は大学院生です。来年、3年生になります。
もちろん勉強は大変ですが、とても学生生活は充実しています。

大学院には、聴覚障害のある人はそんなにいないと思います。
今わたしが通っている大学院は、先生や生徒のみんながとても聴覚障害を理解してくれています。
例えばわたしが会話などでうまく相手の声が聞き取れなかった時、ついつい質問を何度も繰り返してしまっても、大丈夫だよ何度でも聞いて、と言ってくれます。
先生たちも、どうしたらもっと授業が聞こえやすくなる? なんておっしゃってくれるんです。
いつも気にかけていただいて、本当に周りのみんなには感謝しています。いつもありがとうございます!

 
いかがでしたか?
黒岩さんの補聴器はきらきらとデコレートされています。
とてもきらきらした印象の女性だったので、これも黒岩さんらしいなあ、と思ってしまいました。
お似合いです!

 
最後に黒岩さんの座右の銘を掲載します。
汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を祷らんものか
If you care anything about your personal security, You should first of all pray for order and tranquillity throughout the four quarters of the land, should you not ?

通解:あなたが自分自身の安泰を願うのなら、まず世の中の平穏(四表=自分の前後左右の方角や周囲、静謐=平穏、平和)を祈ることが必要ではないか。